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対人恐怖症

対人恐怖症とは、他人に自分がどう見られているかにこだわりすぎる病気です。
自分が他人からどう見られているか、どう思われているかを気にしない人はいません。けれども、他人の本当の気持ちはわからないものです。こだわり始めるときりがありません。

自分の表情が、視線が、動作が人の目にどう映っているか、それを意識しすぎることから対人恐怖は始まります。赤面、手のふるえ、表情のこわばりなどを心配したり、他人の視線や他人の存在そのものを恐れることが対人恐怖症の症状です。

この症状は思春期ころに起こるのが普通です。小さい子供の時は、他人の思惑など気にしないのが当然です。それが成長するにつれて、集団の中での自分の役割というものを意識するようになり、それに伴って他人の目が気になるようになります。
ですから、思春期ころに人目を気にするようになるのは健康なことです。ただそれが度を越してしまうと、「対人恐怖」という病気の範疇に入ることになります。

対人恐怖症は日本人に多い病気です。というよりも、アメリカやイギリスには対人恐怖症という病名自体が存在しません。
なんでも平均がいいことだとする日本的な考え方がこの病気を発生させているようです。

平均からはずれれば目立ちます。目立つことの良さより悪さの方が意識されるのが日本です。自分の特徴が他人に不快感を与えているのではないかという意識が対人恐怖症の原点です。
口臭やわきがを過剰に気にする自己臭恐怖や、自分の外見が醜いと心配する醜形恐怖も同じ種類の病気です。

他人を気にすることは誰にでもあります。ある調査によると、大学生の50%が対人恐怖の症状を自覚しています。誰でも気にすることなら、気にしていることを気にしても仕方のないことです。そう開き直れれば治ったのと同じことです。
大部分の対人恐怖は30歳までに自然に治ります。開き直れなかった場合に、カウンセリングなどの治療が必要になります。

ですが、ほかの病気の症状のこともあります。
たとえば精神分裂病のはじまりや、うつ病でも他人が怖くなることがあります。その場合は早く薬物治療を行うことが必要です。対人恐怖が長引く時は、診断をつけて方針を決めるためにも、専門家を受診することが必要です。
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