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パニック障害

「自然発生的な予測の出来ないパニック発作を特徴とし、発作を繰り返す」ものです。パニック発作は比較的短時間(通常は一時間以内)持続する、強い恐怖または不安です。動悸や息苦しいなどの身体症状も伴います。

パニック障害の患者がパニック発作を感じる頻度はまちまちで、1日数回のこともあれば一年間に1.2回の事もあり、内科などで他の体の病気やヒステリー症状と誤診される事が多くあります。

また、パニック障害には必ずと言って良い程「広場恐怖」が伴います。広場恐怖とは、「今いるこの場所が逃げられない場所だと考え激しい恐怖に恐れる」と言ったもので、起きる場所として、駅、電車やバスの中、デパート、エレベーター、地下鉄など公の場所が多く、そのため社会生活能力が著しく障害される事が問題となっていきます。

本来は恐がる必要のない場所ばかりであり、本人たちも頭の中では「恐がる必要はない」と思っています。
しかし、理屈よりも先に恐怖が出てきてしまうのです。特にパニック発作が起きて、どこかに逃げたいのに逃げられない、そう言う場所に居るとなると非常な恐怖に襲われ、発作はいっそうひどいものになります。

症状
パニック発作
「予想のつかない、自然にわき出るパニック発作」がメインです。
パニック発作の診断基準としては強い恐怖または不快を感じ以下のうち4つ以上が突然出現し、10分以内に不安が頂点に達するもの。
  1. 動悸、心悸亢進、心拍数の増加
  2. 発汗
  3. 身震い、震え
  4. 息切れ感、息苦しさ
  5. 窒息感
  6. 胸痛、胸部不快感
  7. 嘔気、腹部の不快感
  8. めまい、ふらつき
  9. 現実感消失、離人症状
  10. 気が狂うことに対する恐怖
  11. 死ぬことに対する恐怖
  12. 異常感覚(感覚麻痺)
  13. 冷感、熱感

パニック発作はパニック障害ではない他の精神障害でも出現することはあります。例えば、特定の恐怖症、社会恐怖、PTSDなどです。
これらの場合のパニック発作ははっきりとした引き金となって発作が起きるものです。パニック障害の場合では青天の霹靂のように出てくるので、引き金を同定する事は出来ません。

パニック障害
最初のパニック発作は全く自然発生的に出現します。中には興奮や身体的運動、性行動で生じる事もあるようです。パニック発作が始まると10分程で急速に症状が悪くなる事が多い様です。
主な精神症状としては、死が迫ってくる感じ、死と身の破滅の感覚、極度の恐怖です。この恐怖の原因がなんであるかを特定することが出来ません。

身体症状としては、頻脈、動悸、呼吸困難、発汗などです。
また、その場から立ち去ろうとします。発作は通常20〜30分続きます。心臓や呼吸器系に症状が出るのでなおさら死が身近に感じられてしまうようです。
発作が消失したあとでも、またこの発作が来るのではないだろうかといった「予期不安」を持つ事が多いようです。

原因
何らかのストレスが原因となって、自律神経のバランスが崩れ、神経伝達物質の変化によって引き起こされるものと考えられています。

生物学的要因
パニック障害では自律神経の交感神経の緊張が亢進していることがまず第一です。つまり、戦闘態勢に入っているのですね。その敵がなんだかわからないのですが。また、繰り返される刺激に対する反応が遅い事、ちょっとした刺激にも過剰に反応しやすくなっています。

パニックを誘発する物質として二酸化炭素や神経伝達物質があります。
神経伝達物質はノルアドレナリンやセロトニン、GABAなどの受容体に拮抗(邪魔)するように働く物質がパニック障害に関係していると考えられています。本来は神経伝達物質がつくべき受容体に先回りして穴をふさいでしまいます。それで、次の神経に刺激が伝わらないことが不安などの正体と考えられています。
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