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演技性人格障害

なんだか病名を見ただけで、想像出来そうですね。
演技性人格障害とは常に周りの人の関心を集め、 自分が中心で居ないと気がすまない人です。 一見魅力的なのですが、底は浅く、自分の思い通りにいかないと感情を爆発させることがあります。ほんの最近まで「ヒステリー性格」と呼ばれていたのが、この演技性人格障害です。
それでは、まず、そのヒステリーについてみていくことにしましょう。

ヒステリーとは?
簡単にまとめますと、自分を実際よりもよく見せたいという願望の強い性格のことを言います。自己中心的で、虚栄心が強く、わがままで、子供っぽい性格が多いようです。
精神医学用語として、ヒステリーは使われなくなりつつありますが、まだまだ、ある意味便利な言葉で実際には使われています。

ヒステリーとヒステリー性格は別々のものですので、少しだけ解説します。ヒステリーとは「特別な心理的な原因によって起きる身体の変化です。その変化は色々な種類があって、手足が麻痺したり、感覚がなくなったり、夢遊状態になったり、意識混濁、記憶喪失などが出現するもの」となっています。
一方、ヒステリー性格(演技性人格障害)は「感情の昂揚しやすいこと、暗示性にとむこと、大げさな芝居かかった行動に出ること、性的なことにむやみに関心を示すこと」となっています。

つまり、ヒステリーでは症状が身体に出ることで防御機制に出るのに対して、ヒステリー性格(演技性人格障害)では、抑圧が十分な防御機制にならず、行動として出ることで大きく異なります。

それでは、診断基準をみてみましょう。
次のうち5つ以上当てはまると演技性人格障害が疑われるようになります。

  1. 自分が注目の的になっていないと楽しくない。
  2. 他人との関係は、不適切に性的で魅惑的・挑発的な態度をとる。
  3. あさはかで感情を表に出す。
  4. 自分への関心を引くために身体的外見を利用する。
  5. 感情表現がオーバーなのだが、内容がついてこない。
  6. 芝居がかった態度や誇張して表現する。
  7. 他人や環境の影響を受けやすい。
  8. 対人関係を実際以上に親密なものとする。

となっています。
以上のことをまとめると、演技性人格障害は大きく4つの性格的特徴を 持っています。
  1. 自己顕示性
    自分を実際よりもよく見せたい。
  2. 情緒不安定性
    一見すると他人を振り回して行動しているように思われるが、その真実は実に小さく不完全なもので、危うさ、不安に満ちています。
    支配的に振る舞うことでかろうじて安定化を図っているのです。
  3. 被暗示性
    情緒不安定と同じく、他人や環境に合わせることで、安定化を図るのです。
  4. 魅惑性
    わざとらしく表面的で挑発的な態度にでるのは、背後に深い罪悪感を抱えていることが多いようです。
    このことは、患者を魅惑的な行動に走らせる一因となっています。

この障害は本人に「治そう」という気がない限り難しい病気です。多くの患者さんはアルコール依存症であったりうつ病で病院を訪れることが多いようです。

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