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解離性同一性障害−経過と治療

10歳前に発症した場合は極めて治療が難しい様です。一方10歳以降であれば自然に解消されていく事もあります。人格の数が多ければ多いほど、治りにくい様です。

・治療の目標
治療の目標によって、治療内容は変わってきます。
ここで注意して欲しいのは、多重人格の全てをひとつの人格に統合しなければならないと、考えられがちですがそうではありません。多重人格システムのまま治療も受けず、高度な機能を発揮している人もいるからです。

共通の治療目標は、患者の機能レベルの安定と向上、心的外傷の解消です。患者の多くが、小児期に重大な心的外傷や葛藤にさらされてきた人たちです。
症状を改善していく為にはその心的外傷に接触しなければなりませんが、その事が患者を不安定にし、機能レベルの低下を引き起こす事もあります。

・治療の原則
  1. 治療者と患者の関係  
    治療同盟を育てつつ、患者自身が治療に積極的に取り組む。
  2. 多重人格状態  
    特定の交代人格をひいきせず、公平に扱う。
    問題行動のある人格を排除したり、援助的な人格に全体の管理を押しつけたり、特定の人格と取り引きしたり、特定の人格を中傷してはいけない。
    人格システム全体の一部である事を忘れてはいけない。
  3. 心的外傷  
    安全にあせらずに取り扱う事。場合によっては悪化する事がある為。
  4. 治療者の態度  
    患者は暗示を受けやすく、多くの否定的な認知の歪みを持っています。
    誤解を与えない様に、認知のゆがみを解除していく。
    治療者のちょっとした態度を、悪い様に取りやすい。(ため息をつくと、諦められたと感じるなど)
    患者は自分の安全を守る為に、治療者を常に厳しくチェックしています。
    一貫した責任ある態度でないと足下をすくわれます。

・治療の段階
心的外傷の回復を3段階に分けて考えます。
第1段階は「安全の確立」、第2段階は「回想と服喪追悼」、第3段階は「通常生活との再結合」です。第2段階で患者が心的外傷と直面し、それを消化していきます。第1段階はその準備段階、第3段階は心的外傷からの再出発です。

これらをさらに細かく9段階に分けます。1,2は安全の確立、3〜6は回想と服喪追悼、7〜9は日常生活の再結合です。


基本的な説明
・診断基準の定義
・交代人格とは
・原因・虐待との関連
・主な症状
経過説明と治療方法
・経過と治療
・経過と治療 第一〜第三段階
・経過と治療 第四〜第六段階
・経過と治療 第七〜第九段階
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