「アルコール依存症の親を持つ家庭に生まれ、現在大人になった人」というのが意味になります。
現在ではこのもともと持つ意味が拡大され、単にアルコール依存症の親から産まれた子供でなくても(仕事依存症やギャンブル依存症、摂食障害など)このアダルト・チルドレンという言葉が適用されるようになりました。
この場合は、厳密に云うとAdult Children of Disfunctional Familyと呼ばれ、「機能不全の家族に生まれ、現在大人になった人」という意味になります。
このアダルト・チルドレン(=AC)ですが、病名ではありません。自らがACだと自覚した人のための言葉です。ACは人から診断されるようなものではなく、自己申告制です。
本来、子供は両親のたゆみない愛情に包まれて育つ必要があります。そうすることによって子供は情緒的に安定し、「どんな自分でも愛してもらえる」という安心感を身につけることができるのです。
しかし、親がアルコール依存症や仕事依存症など様々な嗜癖問題を抱えている場合、その影響が子供に及び、子供は自分自身の人生を生きることができなくなってしまうのです。
下は、ACの心理的特徴になります。
- 正しいと思われる事に疑いを持つ(「これでいい」と確信が持てない)
- 最初から最後まで、一つの事をやりぬくことができない
- 本音を言った方が楽な時にもにウソをついてしまう
- 情け容赦なく自分を批判する
- 何でも心から楽しむ事ができない
- 自分の事を深刻に考えすぎる(まじめすぎる)
- 他人と親密な関係を持てない
- 自分がコントロールできないと思える状況の変化に過剰に反応してしまう
- 常に人から自分自身を認められたいと思っている。
- 自分を他人とは違っていると感じている
- 責任を感じすぎたり、無責任になりすぎたりする
- ものごとを過剰に取り組みすぎる、無価値なものと分かっていてもこだわり続ける
- 衝動的である。他の行動をとることが可能であってもその代替案のことを考えずに一つの事を考え、自分を閉じ込めてしまう。
次に機能不全家族についてですが、初めて聞く言葉だと言う方も多いでしょう。
一言で言ってしまうと、「さまざまな事情から子供が安心して育つことのできないような緊張をはらむ家族関係を持つ家庭」のことです。
さまざまな事情とはたとえば、
・親の仕事中毒、・親のギャンブル、アルコール依存、・教育ママ、・嫁姑関係の確執、・親の長期不在などがあたります。
その他にイメージが簡単につきそうなのは、見た目は普通の家族なのに、無意識的にいい家族を演じてしまう仮面家族などです。
このような家庭で育った子供は「いい子」「優しい子」「しっかりした子」である場合が多いのですが、大人になって生きづらさを感じ、アルコールや薬物に依存したり、うつ状態に陥る場合があり、この傾向を説明するのに使われたのがAdult Child of Dysfunctional Family(ACOD)であり、Adult Child of Alcoholics(ACOA)です。
具体的に機能不全の家族とはどういう構造の過程でどういう特徴のある家庭なのか、代表的な本から抜粋して下に書きます。
機能不全の家庭は以下のような暗黙のルールに支配されています。
- 問題について話してはいけない
- 感情を率直に表現してはいけない
- いい子にならなければ愛されない
- 自分勝手な子は愛されない
- ありのままの自分には価値がない
どのような家族なのか。
- よく怒りが爆発する家族
- 冷たい愛のない家族
- 性的・身体的・精神的な虐待のある家族
- 他人や兄弟姉妹が比較される家族
- あれこれ批判される家族
- 期待が大きすぎて何をやっても期待に沿えない家族
- お金や仕事、学歴だけが重視される家族(親がワーカーホリック(仕事依存症)の場合も含む)
- 他人の目だけを気にする表面上はしあわせそうな家族
- 親が病気がち、留守がちな家族
- 親と子の関係が反対になっている家族
- 両親の仲が悪い、ケンカの絶えない家族
- 嫁姑の仲が悪い家族
機能不全家族の10の特徴。
- 身体的虐待、感情的虐待、性的虐待、無視、その他の虐待
- 完璧主義
- 融通性のない家族ルール、生活スタイル、信念スタイル
- 「話すな」のルールと、家族の秘密を守る事
- 自分の感情を見極めたり、表現したりする力のなさ
- 家族の他のメンバーを介してのコミュニケーション
- 二重メッセージ、二重拘束
- 遊んだり、楽しんだり、自然に振る舞う事のできなさ
- 不適切な行動や痛みに対する耐性がありすぎること
- 境界が不鮮明な網状家族
最後にもう一度言いますが、ACは病名ではなくひとつの個性です。自分がACなのだと自覚することによって回復への一歩を進むことができます。