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060

硝子のバラを裂いて砕いた
薬で整える日常
君を閉じ込めた檻のカギは
とうの昔に捨ててしまった。

16和音 とけて消える
何も聞こえないと嘯くその口
頑丈な糸で縫いつけてしまおうか。

私の砕いた甘い夢
重なる 40和音

頭の中の 壊れた変拍子
何者にも揺るがせない
君と私の 小気味悪いリズム。

その中でゆったりと身を任せて
糸を切り裂き
鍵を吐き出し

君が私を捨てて行ったように
私も誰かを捨てる。

もう 在る音は 雑音。

059

私のリモートコントローラー
自由のきかない身体を前進させる

ああ、そっちは海よ
私はそこへは行きたくないのよ

そうね、
魚になれたらいいと思うわ
でも、ああ、そこへは行きたくない

私のリモートコントローラー
破滅への道へと私を送る

ああ、ああ、嫌なのよ
行きたくないのよ
どうか言う事を聞いて頂戴

行きたくないのよ
ああ、
     だ
           め

058

さようなら さようなら
壊れたように 繰り返す言葉

きっと見上げれば
泣きそうな君の顔が見える

さようなら さようなら
繰り返さなければいけない言葉がある

きっと俯けば
私の目からは涙が落ちる

君の顔を見ないように
俯いてしまわないように続ける
さようなら さようなら

きっと知らなければいけない事は
沢山あって、
きっと見なければいけない事も
沢山あって、

だけど僕は何も見ない事にした。
何も知らないままで居る事にした。

だってそうしないと、
感じてしまう事が沢山あった。
僕は何も感じたくはなかった。

君を失った事に、直面したくなかった。

057

最近、夢と現実の区別がつかないのは
「生きたい」と言う絶望を見失っていたからで、

いくら、手を伸ばして探しても
何も掴めない事は、解っていた筈だったのに。

君に甘えすぎてしまっていて、
死んだつもりになって思い込もうとしたけれど
どうしてもこの手は、動いてしまう。

何が掴みたいのか、自分にすら、わからない。

対象なんて実際何も無いんだよ、と
繰り返し 繰り返し 口にしながら

私は
「死」と言う、希望を、握りしめた。

056

間違っている自分なんて認めたくないから
だから何時も目の前はガラス張り

ノイズが酷くても現実はそれ以上に煩くて
口を開けば繋がらない言葉ばかり溢れ出すの

貴方に意味が通じないように
私にも貴方の云ってること理解出来ない

全て分かり合おうなんてハナから無理だったのよ
頭で受け入れても心が拒否してるじゃない?

心の回線ブッ千切って
ヒトツになれば少しは近付けるかな

ガラスとノイズが混ざり合って
私の世界もぐちゃぐちゃになっていく

どれだけ離脱してもごちゃ混ぜになっても
認めたくないの

それだけは譲れない

055

今日も私は目を覚まし、ごく普通に朝食を摂り、
そしてあなたのことを想った。

お祈りのように毎朝思い出す、軽い後悔。

何故私の腕はあの時、あなたを殺さなかったのか?

決して戻れはしない甘い記憶を胸に、
私は今日も生きようと、心に誓うのです。

あの時果たせなかった願いの重苦しさに酔いしれながら、
私は明日も精一杯生きようと、あなたに誓ったのです。

けれど、この腕はまだ、絞めるべき首を探しています。
自分の首をいくら絞めても、どうしても足りない。
大切な誰か でなければいけないみたいなようです。

自制が効く内に、私は私を終わらせなければ
きっと次の人であった、今のあなたを苦しめてしまう。

怖くて、恐くて、先が全く見えない場所に、
あなたの存在が浮かび上がってくるのを止められない。

どうか、どうか、今日で、私 を 止 め て く だ さ い 。

054

鏡に手を伸ばして、
中に入れない事を理解して、止める。

僕は何で、この世界に居るんだろう。
僕はどうやって、
この先この世界で生きていくんだろう?

ここは寒いよ。
誰もが自分に精一杯で手一杯、
位置を確認しては立ち去る。

そこに映っている見える僕の顔は、
君が居なくなってから変わらない。

音楽に体を揺らして、
出まかせの声を出して。

ああ、それだけで、少し、救われる。

053

知らない誰かが
知らない事を
知らない所で

ぐるぐると
ぐるぐると

私の目を通して
誰かが世界を視て居る

そこに 許可は無く
そこに 意思は無く

広がる真っ暗闇を
私と同じ空気を
私の感じる気持ち全てを

世界を 共通した視線で

ぐるぐると
ぐるぐる と

誰かが見て居る
私を 見て居る

052

今、苦しみの中に居る 貴方の
救いに少しでもなれたらと

ごちゃごちゃとした考えの中で行動して
結局、
思う事とは真逆の結果になる。

もう少し、上手に出来たなら。

実際いくら程も苦しみを 取り込めない
そんな現状

過去から見れば成長した私も、
貴方から見れば現在の私でしか無い
だから私は、今後も成長します

苦しみよりも 喜びを 貴方に
伝えたい。

これは、私の今の 心

051

身体が冷たくなっていく
心が覚めて

誰にも出会えない世界
一人泣いて何も出来ないから
自分の事だけで精一杯

心が歪んでいくのを止められない
意識が蝕まれていく感覚
それ以外何も感じるなと
中の意思が訴えかけている

何をしていても薬が入れば無感動で
一番楽な筈なのに
虚無感から逃れられない

美しい色はどこに行けばある
それを見る事が出来ない
ざわざわと煩い言葉たちも
きっと別の角度から見れば美しい

このまま冷たさが加速して
死へと向かっても
覚めた心は戻ってこない

やめて
やめてやめてやめてやめてやめて

050

誰にも言えない悩みがあって苦しいの。
分かってる。
これも全部自分が招いた事だって分かってる。
だからこそ、誰にも言えない。

目の前がぼやけて、何も見えない。
掴んだ物はすり抜けた。

悲しみが襲ってくるの。
どこから来るのか分からない、ゆるりとした悲しみ。

何時、解放されるの?

傷跡は消えたのに、傷が痛むの。

本当は傷跡は消えてなんかいないんだ
「それ」だけじゃあ狂いそうになるから、
見えなくなったフリをした

この世で一番信用出来ないのは、
自分の記憶だろ?

049

袋から出るテディベアの頭
ガラスの瞳

もう願っても叶わないことはわかる?

泣いている暇があるなら暴れろよ
動き出さない茶色のカタマリ

掻き切った喉笛からは何も出てこない

袋から出るテディベアの体
ナマリの瞳

何時までそうやってる気なの?

叫ぶ暇があるなら獲物を喰らえ
正常に働かない頭蓋骨の中身

数字は過ぎる
針が進む

文字盤がおどけた過去の産物

袋から出るテディベアの足
ツメたい瞳

もうとっくに時間は過ぎているよ

さあ立って歩き出し捜そう
まだ覚束無い足取りで

滴る血を舐めたならお前は目覚める

針が進む
時計が消えた

袋の中のテディベアはもう居ない

048

苦しい苦しいと訴える私の心は
誰かを理解する事が苦手で、
どうしても何時も、自分の事だけを喋っています。

”死ぬ”と言う事がどう言う状態にあるのか
聞く人によって違うので、
自分だけの理由を考えても
良いような気がしてきました。

でもそこに真実味は全くなく、
やはり、今日も怯えて過ごします。

苦しみと辛さを一緒くたにしてしまえば、
相殺出来る錯覚に陥ります。

願いに飲み込まれてしまおうと
腐ったテープレコーダーを投げ捨てても、
この場所から離れる事が出来ません。

自分と言う記録は
どうしても自分の視点で進んでいくので、
人には上手く伝えられずに居ます。

切実な想いを持ちつつも既に半分諦めていて、
どっちつかずな位置で、一人。
今は願いが何だったのかすら思い出せません。

きっと伝えられる時が来れば、
自然と思い出すでしょう。
それまで、願いの中で、おやすみなさい。

047

桜の雨 はらはらと
独りの少女を埋めていく

”生まれてきて、ごめんなさい”
両手を広げ頭上を仰ぎ
自分を葬る花を見つけながら少女は云う

悲しいね、寂しいね、
たった一人で生きていくには
この世界は、乱暴で
素っ気無くて、暖かくて、残酷で

知らない内に零れた涙が
頬を伝うけれど
桜雨はそれを優しく隠す

出来るならもう少し長く、生きてみたかった
その言葉に 返事は無く

046

優しさに拒まれた時
私は常にあなたと言う「盾」を
利用してきたのだと思います。

矛盾を繰り返す愛情は、
すぐにでも私から、あなたから、
離れていってしまいそう。

そんな掛け違えたボタンのような恋の中で
必死に生きていた事。

どうか、これからも、忘れないでください。

あなたが言った、私だけの「理解者」。
私が言った、あなたの「理解者」。
きっとこれだけは、変わる事はないから

もしこれから先、互いが別の人を見ようとも
「忘れないよ」。

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