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030

煙 落ち行く
蛹 溶け行く

無情の支配に身を任せる激情
混沌の利害に苦しみ行く人形

過去は暗闇の彼方
最後の祈りは空を切る
離れていく幻想と
頼みの綱の血反吐ども

羽ばたく奇跡もここには無く
乾いた喉は呻きを立てる

絵に描いたような幸せ
字に書く不安と絶望
さり気無く期間限定の夢物語

煙 燃え行く
蛹 砕け行く
諸行無常の生はこの手の中に

029

流されていった
私と欠片は遠い映像
風に揺れた花の木
猫を空虚を餌にする

ノイズの走る壊れた頭
音楽の快感
傷跡のロール
諦めが落ちた 幻想 幻想 幻想

流されていった

ないものねだりの手
立ち会う死に笑み

歌声とループ

028

この奇妙な空間で、あなたは何を理由にして
眠りを切に願っているのか。

死にたい程に辛くても
行動に移せるまでには まだまだ足りなくて
足踏みをしながら、迎えが来るのを待っている。

ここに留まっていたい訳じゃない。
動く責任を背負うのが怖くてどうしても
身が心に服従しない、未知に対する恐怖。

迎えは来ない。
手招きしても、きっと身体は動かないだろう。
理由を必要としない その曖昧なあなた自身こそが
恐らく、動けない第一の理由であるのだ。

027

言葉にしてしまう事が恐いから、
私は何も言わないまま
あなたに何も言えないまま終わるのかもしれません。

きっと私はあなたの事を忘れられないから
あなたが私の事を忘れてしまっても、

さようなら、さようなら。
代わりにせめてもと一生懸命に手を振って、
あなたの前から立ち去ります。

引き止められる事を望みながら愚か者は
振り返りながら立ち去ります。

さようなら、さようなら。

026

どうしようもない無力感と孤独
どうでも良いよ。

私の中に、諦めていない子が居る。
愚かなまでに 必死に
記憶の中で生きている。

彼女を認める事は
私自身の耐え難い無力を認める事。

ただ、ただ、真っ白だった頃の 私。
幸せ、だろうか。

025

その場の気分で優しくしないで
そんな事をされると少しでも信じたいと思ってしまう。
私の決心は時にとても脆くもあるから
崩れる時の葛藤で私はまたひとつ弱くなっていくから。

残酷なだけ。
可哀想だと思ったとしても同情したとしても
”永遠”を与えられないのならどうか見て見ぬ振りを。

気の迷いで手を出すと殺意を持たれかねません
そう云う世界でずっと生きて来たので
あなただけ特別に、と云う事も出来ません。

お願いです。
その場の気分だけで優しくしないで
”永遠”を与えられないのならどうか見て見ぬ振りを。

024

壊れそうな程好きな、壊しそうな程愛したあなたは、
どれだけ私の事を理解していましたか?

叫んでも言葉にならないのならば、
いっそ、悲鳴でもあげさせましょうか。
最期に誰の名を呼ぶのでしょうか。

歌いたい。唄いたい。
自分を慰めるための言葉を込めて。

私の足は、酷く汚れてしまっていたから、
あなたの居る場所へは入れなかったんだ。

許しがたい衝動を受け入れてくれた、
その両手を真っ黒にしてしまうのが恐くて
自分から

誰かと一緒に居るあなたを想像したくなかったけれど

023

自分を愛するように君を愛したいと願っても
結局私は自分ばかりを愛してしまう
ただ清く 強く 潔く生きる事の難しさ

せめて祈ろう 君の幸せを
それは君を守れない私のため

そして祈ろう 私の幸せを
それは自分を責める君のため

神は苦笑いして聞いてくれるだろう

022

いくら優しい言葉をかけたって、
あの時の裏切りの熱さは 忘れない。

いくら弱弱しく泣いて見せたって、
あの時の突き放された痛みは 忘れない。

いくら忘れられない事があっても、
あの時の浮かれた頭は何処かへ行ってしまった。

021

何を失ったか 指折り数えて笑ってる。
狂気しか浮かばない?
全て失くす勇気も無いのに、中途半端な不幸自慢。

その心は穴だらけ
先が見えない・・・

希望より絶望を手繰り寄せて
じゃあ、何故 空を見上げるの

数えるものが無くなると、今度はその手で傷を増やして。
あぁ また深く 沈むんだ
ドラマチックな現実に。

020

雲に映った私の顔
ぼやけて揺らいで別人のよう

縫い合わせた傷口を必死になって抉じ開ける内に
閉じても 閉じても 血が流れ出すようになった

赤いだけの夢は 視たくない

空に物を映す方法
一生懸命探してるのに 見つからなくて
何時しか諦めてしまっていたけれど

人の言葉を反復するだけの私が、
きれいに映ってくれる筈もないこと
今やっと、気付いた

でもまだ、夜が来て何時ものように雲を覗き、
中を掻き回している私が居る

019

落ちていく感覚がある
方向は判らないけれど
下へ、下へと
堕ちていく感覚がある

名前も忘れてしまった
大切にしまい過ぎてて
濁る、水へと
滑り落ちていった

壊れれば楽になれるのに
みんな口をそろえて言う
約束された訳じゃないのに

意識がある内は
楽になる事など出来ない
夢の中でさえ
苦痛は私を蝕む

じわじわ、じわじわと
私を侵す

018

胸の中がぐらぐらする

右胸はもうつぶれてしまった
掻き毟った傷口から膿が染み出して服を汚す
もうどんな薬も効かないのだと云う確信

溢れるものは毒ばかり
私の中に何かが住み着いて暴れ狂っている

せめて最後に自分の意思で
最後の一言で良いから

例えそれがただの叫びだったとしても

017

しっかり鍵を閉めて生きてきました
誰にも開けられない様に何重も重ねて
けれど鍵は壊され 開けられました
私は強くなると同時に弱くなりました

何時の間にか季節は夏です
どれだけの時間眠っていたのでしょう
暗くて落ち着く空間で死んだように

起こさなければ良かったんです
そうすれば鍵は壊されなかったでしょう
今更云っても遅いのは承知ですが
悔やんでも悔やみきれないのです

私はあなたを壊すでしょうか
どうか壊れず私の元に居て下さい
私はあなたを殺すでしょうか

自分で自分が怖いのです

016

鉄パイプを持って 壁を壊して
当たり前の事を 当たり前のように
こなしてゆく人たちを 呪った

鉄パイプは錆びてしまったけれど
私は 壁を壊し続ける
折れてしまっても気付かず
何度も 何度も 振り下ろす

何時の間にか 壁はなくなっていて
知らずに私は 一番近くに居た人へと
腕を下ろした

人を傷付けてしまった事も知らず
飛び散る赤いものにも気付かず
何度も 何度も 何度も
呪いを 振り 下 ろ す

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