01 雨
降り注ぐ 雨のようなそれは赤
空想がまやかしに犯されていく
消えないで 純情だった頃の僕
鈍い色に染まらないで
手をかざせば少しの静寂
とめどなく溢れる
消さないで 消さないで
記憶から零れ落ちて
赤い水溜り
12 白い狂気
何時も 何時も
横で寝ている貴方の首に指をかけたくて
寝たフリを続けていました。
今となってはもう既に
無効となってしまった言葉を繰り返し繰り返し
言い聞かせながら
早く朝が明けてくれないものかと祈ります。
am3:28
まだまだ長い 夜明けまでの葛藤
17 目眩を覚えるような空
愛を歌うなら誰にも聴こえないように
ほら、食べられちゃわないよう 隠しながら
残酷に残酷に過ぎていく真夏の午後
思い出が哀しさに染まらない内に溶かして
ああ、何て空
蒼よりも青い色を抱えて 真下をそっと見下ろしながら
雲の果てまで隅々と泣かないように 泣かないように
さよなら云うなら貴方に聴こえないように
ねえ、つかず離れず繰り返しながら
穏やかに優しく見守るその瞳の奥に
本当に映っているのが誰かも 私は知らず
ああ、別れが来る
その日を心に写さないように涙に変えて
無理矢理消した私は今日も 微笑んでいるの
愛を歌うなら誰にも聴こえないように
さよなら云うなら貴方に聴こえないように
私に聴こえないように
残酷に残酷に 空を流して
22 白昼夢
私は眠り 夢へと還っていく
どれ程悪意に満ちた夢であろうとも
現実ではない分心は休まる
目覚めないかもしれないと言う不安
期待を込めた 不安
そのまま死に逝くとしても
眠りにつく事を後悔などしない
あなたも一緒に眠りましょう
長い 長い 夢の中へ還りましょう
24 幼いふたり
愛され愛した筈なのにそれを忘れた
まるであの激情が嘘だったかのように、
時間が経つにつれ曖昧に霞んでいくあの頃の想いとふたりの涙
幸せにすると誓って君は微笑った
毎日のメールや週に一度の電話でしか繋がらない関係
口約束でも良いと呟きながら泣いた
あの頃約束は絶対的なものだと信じていたから
幼い恋
今ならこの言葉を素直に受け止められるよ
今はもう居ないあの頃のふたり
記憶の中では笑ってる
もう、壊れない
25 花には毒を
ひんやりとした風に当てて、
思い込んでしまった爽快感を感じても
胸を抉るわけにはいかないのです
鳥はどこまで飛んでいきましたか。
花の見た夢を見られるでしょうか？
僅かな望みと自分への期待が
胸の底から喉の奥から迫り上がって
背中から生えた腕は失いました
探してももう、きれいな花はありません
存在するのはただ貪欲な、
子守を続ける奇妙な生き様の毒草