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私は「私だけ」では甘える事が出来ないのかもしれない

色々と思い出して色々と考えてしまったので書いておこうと思う。私が身体を売って居た頃、そして3代目元彼と付き合っていた頃の事と今の私について。

あの人は私の事など多分何とも思っていなかった。あの人が好きなのはあくまで優子さん。優子さん自身は何の感情も持っていなかったみたいだけれど、私には許せなかった。

何時も背中を向けて寝るので寂しくて話しかけても、背中に触っても、何の反応もされなかった。「お仕事」をする時は相手との待ち合わせの駅まで送ってくれた事があったけれど、あちらへ私が行く時は基本的に迎えは来ないので、駅からアパートまでタクシーを使っていた。

好きだと言う言葉、安心する言葉、何もなかった。

作曲をする人だった。私の事を歌にしてくれた。でもその時に貰ったコピーはとっくに折り割って捨てた。その時はもう聞きたくなかったし残しておいても仕方がないと思っていたのだけど、今どんな歌だったのか全く思い出せないので残しておいた方が良かったかな、とも思う。

私の稼いだお金でご飯を食べて、寝て、ゲームをして、作曲をして。会話も殆どないような生活。それでも私があのアパートに通っていたのは、誰かに依存したかったから。誰か特定の人と接していたかったから。でも、それは貰えなかった。あの人は自由だった。

私の事を何とも思っていないので私が身体を売っても何とも思わない。何も言わない。寂しかった。傍に居れば居る程寂しさは膨らんだ。ひとりきりよりは良いと私は本気で思っていたから、誰かを求めたかったから、一緒に居た。

許せなかったから私は優子さんを「殺した」。寂しさの余り私から甘えたい心と子供の心が離れて透子が分離した。透子はあの人の事を昂と呼んだ。何も分かっていなかった。あの人は透子も抱いた。多分、誰が出てもあの人はその人を抱いたと思う。

私たちは、そこに居ただけだったから。ただ物理的に近くに居ただけだったから。

許せなかった。でもそれ以上に人を求めていた。私もただ少し近くに寄ってくれたあの人を依存対象にしようとしただけだったのだと思う。そこに無理矢理感情がついてきただけ。

好きだったのかは分からない。もう、今は分からない。

頭の方向が狂ってしまったので離れたけれど、あの人が警察に捕まって強制入院させられていなかったら、その後も私は同じ事を続けていたのだろうか。虚しさも寂しさも募るだけなのに続けていたのだろうか。分からない。

今、あの人の事を思い出す時に湧き上がる感情は虚しさだけ。思い出す事も、もう殆どなくなっているけれど。

あれから私は、背中を向けて寝る人が怖くなった。何の反応もされない寂しさを痛い程味わったから、触る事が出来なくなった。人が私に背を向けて寝ている時、私はひとりだ。そこに、誰も、居ない。居ないよりも残酷な呪いが、かかった。

透子は次第に自我を確立させていき、私から完全に離れ、同調をする事は出来てももう私とは違う人間。彼女に私の人に甘えたい心を殆ど渡してしまったから、私は淡白な性格になった。そちらの方面に関して、淡白、ドライ、言い方なんて何でもいい。

安心したかっただけ。誰かに甘えたかっただけ。その点では私もあの人を利用しようとしていただけなのかもしれないね。叶わなかったけど。

ずっと昔からだったけれど、寂しさや虚しさがふとした時に襲いかかってくる。これを書いている今もとても虚しい。どこかに何かを置いてきてしまったような、がらんどうな部分がある。私が私のままこの穴を完全に埋められる時が来ると思えない。

切り離した筈なのに、私自身の中にまた「甘えたい」と言う欲求が出てきている。それでも、怖いから。受け入れてもらえるのか分からないから。あの寂しさをもう味わいたくないから。臆病になっていて、勇気が出なくて、言葉にも出来なくて、行動で表す事も怖くて。

ある程度以上寂しさを感じると、私は逆に人を避ける。寂しいから、背中を向けるし、連絡がしづらくなるし、近付けなくなる。怖いから。

透子と同調している時は比較的甘える事が出来ている気がするけれど、どうなんだろう。普通の人と比べて私はどれくらい甘える事が出来ているんだろう。前の人とかと比べて私はどうなんだろう。と言うか比べられた事はあるのだろうか。ないかもしれないな。

私は自分の事をつまらない人間だと思う。会話も繋げられない。楽しい話題も提供出来ない。何か取り柄がある訳でもない。感情表現が上手く出来ない。面倒くさくて扱いづらい人間。自己否定が膨らんで、私は私である事を放棄したくなる。でも、私だ。私なのは私しか居ない。存在していたい。矛盾。

愛されたい。甘えたい。愛されている実感が欲しい。だって、「本気で愛した人間」なんて言われた事がない。分からない。だから余計に面倒くさいと思われるんだよ、私は。今、愛想を尽かされたくない人は、家族以外では1人だけ。あの人はもう私の中には居ないしもう関係がない。興味がない。生きていようが死んでいようがどっちでもいい。

今はその1人にすがりたいし、愛されたいし、愛したいし、甘えたいし、捨てないでって思う。でも、言葉に出したらもっと面倒くさい人間になるから中々言えない。これはあの人の時と違って、依存したいからじゃなくて、本当に好きだから。

普通の人ってどんな感じなんだろう。どんな甘え方をしてどんな接し方をするんだろう。どれくらい自分の気持ちを相手に伝えているんだろう。私も普通の人なら良かったのにと思うけれど、多分普通の人になっていたら今の私とは全然違う私だよね。

違う私でも、その1人は私の事を同じように好きになっていてくれたかな?もっと好きになってくれてたのかな?分かんないね。
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